表題の本とは関係ない話なんですが、とあるブログで見つけた話(出所不明)
アメリカの医学学会(心臓外科)で、講演中に会場の掃除婦が心臓発作らしき症状で倒れた際、数百人いた心臓の専門医師の中で、掃除婦に駆け寄って病状を確認しようとしたのは日本人医師数人だけだったそうで、アメリカ人医師たちは、掃除婦の姿をみて、彼女は医療保険の加入者ではない=自分の患者ではない、という判断をしたのです。
保険制度や文化の違いがあるとは言え、悲しいくなる話ですね。
ただアメリカでは失われてしまった医師と患者をつなぐものが、日本にはまだあるのだということは救いだと言えますが。
話は変わって、流通業界です。
GEROPPAは昔、NEC系のPOSシステムの販売をやってたこともあり、当時の流通業界の事情はひとかじりはしておりました。
折しも、大店法の規制が緩和されGMSの出店ラッシュのまっただ中でして、いくつもの新規店舗の開店に立ち会うことになりました。
出店の際のシミュレーションはだいたいこんな感じですね。
http://www.geocities.jp/soltyclub/management/jusco/j5.html
地域を商圏や市場という言葉でいい換え、人口がどうとか、平均所得がどうだとか、M1だのF1だので記号化して、見てるのはお客様一人一人の気持ちではなく、サイフの中身の総和。やることといえば「どれだけ自店に落としてくれるか」。
こういった出店戦略に関する方程式は、疑いようのないことで定理のごとく業界の教科書に記され、教育されてきたことです。
この「A-Z」と牧尾社長の挑戦は、成功すれば流通業界の歴史の教科書に名を残し、長きにわたって築き上げられた流通業の教典を過去の遺物にしてしまうような、大変な偉業だと思います。
ぜひさらに大きな成功を続けて常識を変えてもらいたいと思います。
何よりもこのA-Zの成功が、地域の消費者にとっても成功であるという点において素晴らしいことだと思います。
以下、社長の牧尾氏の言葉を抜粋。
- 正しきによりて滅びるものあらば滅びてもよし、断じて滅びず。
- 小売業は営利企業ではありますが、そこからもう一歩踏み込んで、地域の皆さんの生活に何か寄与するという発想を持てば、結果として利益はかえってくると思います。
- 自分優先から他者優先、損得よりも善悪優先、利益よりもお客さま優先。
- 私は、人生死ぬまで修行、死ぬまで完成もなく、死ぬまで役割ありと覚悟しており、苦楽で苦を選び、明暗で暗を選び、上下で下を選び、損得で損を選び、修行を続けるまま人生を終われたらと願っています。そうすることで社会的な役割を果たせる気がしてなりません。
常識を覆す、大きな衝撃と、勇気を与えてくれる本でした。
自分を翻って見てれば、常に「お客様第一」を掲げながら、その実、業界や社内の常識や慣例を打ち破れず、結果お客様の利益に反することをしていたり、自分の都合で「お客様」が第二やそれ以下になっている場合がないのか。A-Zのいう「お客様第一」と照らして、もう一度自分の仕事を見つめてみる必要がありますね。
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