2007/03/28

真鶴 川上弘美

このブログではお馴染みの、川上弘美さんの最新作「真鶴」です。

真鶴
真鶴
posted with amazlet on 07.04.06
川上 弘美
文藝春秋 (2006/10)
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主人公は、ある日、過去に失踪し、生きているのか、死んだのかわからない夫を求め、この世のものなのか、あの世のものかわからない「ついてくるもの」に導かれ、真鶴に向かう。そこは、彼岸と此岸の間にあるかのような真鶴の海。

登場する、すべての人と世界はあいまいで、それぞれの自我は、輪郭だけを残して、ふわふわと漂いからみあっている。現実と内面の世界に境目はなく、ただ解け合って混ざりあっている。

ことばがもつちからと、独特の文節のリズム感。こんなにごっそりと、物語の世界にひき込まれる体験は初めてです。
否定する訳ではないんですけれど、内側はもういいかなっていう気もちょっとしたりして、でも内側以外のことは書けなくて、外から見て掴んでと言うのもできないから、内側と外側をどうつなげていこうかと、このごろ考えることです。

(中略)

内側は内側、外側は外側と、単純に分かつだけではいられないっていう感じが、これはたぶん、書いているうちにわかってきたような気がします。(新潮社:考える人 2007年春号)

「センセイの鞄」では語られていた、内側の世界が「古道具中野商店」「夜の公園」と続く、外側からの世界を描いてきた川上作品も良かったですが、この作品は、本当にど真ん中の川上弘美を見せられた感じですね。

この素晴らしい作品から受けた感動を、語る言葉を持ち合わせていないのが残念でなりません。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

私はあなたについてあなたの考えを表明する方法に感銘を受けました Blogger: Gerologue - ???????. 私は愛について、誰かがthetのようなすばらしい物語を書くことができる信じてすることはできません Blogger: Gerologue - ???????.