2005/09/19

世界は49対51で正しいことが勝つ

フォーサイトクラブ・セミナー「ウェブ社会『大変化』への正しい対応・間違った対応」梅田望夫さん講演ログ

表題は、梅田望夫さんが講演後の質疑応答で、以下の質問に答えたものです。

質問:

総表現社会において正しい・間違った情報が出てくるだろうけど、そういうのはどうやって担保されるんでしょうか?

梅田さんの答え:

哲学的な世界観なんですけど
若い人は世界は49対51で正しいことが勝つとおもってる

日本のエスタブリッシュメントの人は、
ひとつ悪いところを見つけて全部悪いというけど
インターネットは真っ白にならない

でも、最後の最後で、ギリギリのところで善意とか人間のいいほうのことが
勝つという世界観が、インターネットに住んでいる人は実感してるんじゃないか


本質的なところを言い当てているなあと思いました。
特に「善意とか人間のいいことのほうが勝つ世界観」という言葉に対して、梅田さんが感じている「希望」のようなものに共感しました。

そこで思い出したのが、村上龍が2002年に発表した「希望の国のエクソダス」という小説です。この作品の中で、作者は「この国には、何でもある。でも希望だけがない。」と主人公の中学生達に語らせます。大人たちが作ってきた疲弊した社会に、子供達は希望を見出すことが出来なかったのです。やがて自分達だけで資金を調達し、北海道に独自の経済圏を形成して、大人たちには成しえなかった、希望ある社会を築いていきます。

現在、この小説に描かれたような世界が、現実に起こりうるに十分な環境が、すでに存在しています。ネットゲームで仮想の通貨を稼いで、オークションで販売し、現実のお金に変えるとか、ブログの広告で稼いで、株式投資を行うなど、中学生でも十分な収入を得ることができます。

それでもやはり、中学生を中心にして物語にあるような世界が、現実に起こるとは考えにくいですが、少なくとも、インターネットで、自身を表現する手段を手に入れた若者達は、「自分を取り巻く世界の仕組みは、自分達の力で変えられるんじゃないか」と考えはじめているのではないでしょうか?

今回の選挙では、マスメディアが一斉に小泉支持的な報道に傾きましたが、これもインターネット上の、ブログなどで醸成された世論が、各社の報道姿勢に影響したことは間違いありません。また、直接的にも候補者選定に与える影響も大きなものがあったと思います。

無党派層と呼ばれ、既成の選挙支持基盤を持つ政党からは、政治勢力として無視されてきた存在が、実はインターネットの世界では、オピニオンリーダーとして大きな発言力を持っていることに気づいたところに、今回の勝利者側の戦略の正しさを見ます。

梅田さんが指摘するように、インターネットの世界を知る人と、そうでない人で世界が二分されていく中、インターネットのある世界に生まれた若者達が作る世界には、「希望」があり続けることを願います。
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